レザークラフト研究

横浜で小さなレザークラフト教室をしています。

革の手縫い 菱目打ちをまっすぐ打ちたい

革を手縫いする際の、
縫い目(菱目打ちやヨーロッパ目打ちで開けた目)の「まっすぐ感」のお話


レザークラフトでは、革を縫える厚物用ミシンで縫うほかに、手縫いをすることもよくあります。
縫い目の曲がりは、意外と気になるものですよね(笑)

何十年も前ですが、レザークラフトを始めたばかりの頃、
「菱目打ち」(手縫用の穴開け工具の名称です)でまっすぐに穴を開けているつもりなのに、
開け終えたら、微妙に曲がっていた、ということがよくありました。

理由や解決策を特に考えたわけでもなく、
何度も何度も縫っているうちに、
『慣れ』るうちに、まっすぐに開けられるようになりました。

でも、この『慣れ』の経過が、知らないうちに自分で少しずつ解決していた、ということなのでしょう。
では、それは何だったのでしょう???
今日はそれを考えてみます。


まず、穴を開けるときには、先に、
ディバイダ―(一定幅を保って線引き等ができるコンパスのような工具)などを使って、
目打ちで穴を開けるときのまっすぐなガイドラインを引きますね。

ディバイダ―






ガイドラインがまっすぐでないと、当然、曲がってしまいますので、ここはまっすぐに引くわけです。

ディバイダ―は、使い方として、
はじめにコンパスの幅を3ミリなどに調整、固定しておき、
そのまま革の端に当てて手前に引く動作をすると、
勝手に等間隔で線を引いてくれる、とても便利な工具です。

ここで少し工程を振りかえってみましょう。
・まず、・・・革がまっすぐ切ってあるか?
・ディバイダ―で線を引く際に、手の使いかたは一定か(工具を置く角度や力加減など)?

目視でまっすぐに見えたけど、定規を当ててみたら微妙に曲がっていた、
ということは意外と多いもので、自分もそういうことは多々ありました。
革がまっすぐでない場合、ディバイダ―はそれに沿って線を引くので、結局、曲がってしまいます。

ディバイダ―だけでなく工具類全般に言えるのは、
自分では正しく使っていると思っていて、
実は自分の手の動かしかたにクセがあったりします。
例えば、線の引きはじめはディバイダ―を割と立てた状態で位置決めはバッチリだったのに、
手前に引くに従って、手がブレて、手が寝てしまったり、よく見ると曲がって線を引いていた、
なんてことがよくありました。

作業中、革より自分の手の動作をよく見てみるのも良いかもしれません。

それと、ディバイダ―でなくても、要は、線をまっすぐ引いてあれば良いので、
他の工具を使っても、まったく問題ないです。
ステッチンググルーバーというものや、ネジ稔で引く人もいます。


本題の、目打ちで穴を開けるときですが、
菱目打ちは穴開けの先端側から見ると、菱形の目が並んでいるわけです。
まっすぐな線上に、菱形の並びを完全にブレずにまっすぐ置くのは、意外と難しいものです。
(実際には、目打ちの先は点になっているので、菱形を置くわけではありませんが・・・)


菱目打ちの先端は、菱形から先が点に近づく形をしていますが、
真横から見ている場合は別として、
菱目打ちを打つときの自分の視点からは、その先端の点位置をなかなか確認しづらいものです。

ですので、目視では、ディバイダ―で引いた線上に菱目打ちを置いたとき、
実際には、線上で左右にブレが生じていることが多いです。

ここで大事なのが、このブレが、
0.5ミリ、1.0ミリ、・・・というふうになってしまうと、
「曲がっている」と見えるわけですよね!

菱目打ち(1本目を除く)の最初の目と、最後の目の、
刃先のその先端部分をよく見ながら、
ディバイダ―で引いた線上にまっすぐ並んでいるか確認しつつ、
軽くアタリを付けておく
(穴を開ける前に、開ける箇所とわかるよう、軽く押して跡を付けておくことです)
のが良いです。

そのあと、いよいよ穴開け本番です。
アタリを付けた点が曲がっていないか確認してから
曲がっていたらアタリを付け直してね。


ヨーロッパ目打ちの場合は、先端が点ではなく、そのまま斜め線になっています。
大抵は、刃先に行くほど、その斜め線の長さは短く作られてはいますが、
ディバイダ―で引いた細い線の上に、この斜めに並んだ線(穴)をまっすぐ打つのは難しいです。
でももし、刃先の幅でガイドラインが引いてあったら、その枠内に打てば良いので楽ですよね。
そこで、ヨーロッパ目打ち用の線引き工具というものがあります。
目打ちの刃が斜めに並んだ状態での横幅と同じ幅で線を引いてくれます。
先端の刃の長さによって、数種あったと思います。
使ってみてね。

段々、目と手が慣れてきて、まっすぐ打つときの感覚がわかってきたら、
もう大丈夫、まっすぐ打てます。


#レザークラフト #革細工 #leathercraft #菱目打ち