レザークラフト研究

横浜市で小さなレザークラフト教室をしています。小物から鞄まで

レザークラフトで使う接着剤ー種類と、塗り方のコツを少し

レザークラフトでは、接着剤を多用します。

色々な接着剤が売られていて、どれを揃えたら良いか、迷いますね。

 

個人的には、接着剤なら何でも良いのではなく、レザークラフト用の接着剤を用意したほうが良い、と思っています。

理由は、レザークラフト用の接着剤のほうが、当然、革が良く接着するように作られていますので、その接着強度の点、そして、革本来のしなやかさを失わずに仕上がるかという、仕上がり感の点において、です。

 

ただ、レザークラフト用の接着剤は、それなりに価格が高いように思います。

はじめは小さい容量で買ってみて、色々な種類を使い比べて、自分が使いやすいと感じるものを選ぶのが良いと思います。

 

 

 

レザークラフトで使われる接着剤の種類】

 

今さら、ですが、とりあえずレザークラフトでよく使われる接着剤について書いてみます。

レザークラフトでよく使われる接着剤は、大きく分けて、下記の3種類があります。

 

・水溶性接着剤(ウォーターベース)

  (例:「クラフト社 サイビノール」「協進エル社 白ボンド」など)

水溶系接着剤 サイビノール Water Based Leather Glue

・合成ゴム系接着剤

  (例:「ダイアボンド」など)

 

・天然ゴム系接着剤

  (例:「クラフト社 ゴムのり」など)

天然ゴム系接着剤 ゴムのり Rubber Cement



レザークラフト用の接着剤だけでも、メーカーごとに様々な物が売られています。

個人的には、メーカーによる差は殆ど感じない、と思っています。

 

また、レザークラフト用品店ではあまり売られていない接着剤の中には、レザークラフトにも使える物も存在します。

(例:コニシ社「木工用ボンド」「ボンドGクリヤー」など)。

 

コニシ「木工用ボンド」は、水溶性接着剤「サイビノール」に似ています。

色も白く、粘度も同じような感じです。

レザークラフト用でないとダメ、というブランドへのこだわりが無い場合は、コストパフォーマンスの点でも、売っている場所が多い点でも、良い代用品です。

 

また、コニシ「ボンドGクリヤー」は、調べると、「スチレンブタジエンゴム系溶剤系接着剤」と書いてあって、どんな材料なのか全く理解できませんが(笑)、溶剤系とゴム系の混ざったものなのかな?という想像はつきます。

速乾、透明、柔軟性、比較的売っている所も多い、と、かなり良い接着剤だと思います。

ただ、速乾性だと、貼り合せ時に時間との闘いになり、特に、初心者や、初めて作る作品には、慌ててしまって扱いづらい気がします。

接着剤を塗ることに苦労する、材料を上手く貼れない、と感じている場合は、こういった特徴を理解したうえで、使う接着剤を選び直すと良いかもしれません。

 

どの接着剤も、基本的な使い方は、

「両面塗り(接着する物どうしの、両方に塗って貼り合せる)」です。

 

ここに塗るのはこの接着剤でなければならない、という決まりはありませんが、作業効率の面で大まかな使い分けはあります。

 

 

<水溶性接着剤(ウォーターベース)>

  (例:「クラフト社 サイビノール」「協進エル社 白ボンド」など)

 

水で薄めることができるので、水ですぐに濃度を調節することができます。

溶剤系接着剤は、別途、溶剤を買わないと薄めることができませんが、水溶性接着剤は、水さえあればいつでも手軽に薄めることができます。

 

匂いが殆ど無いのも、使いやすい点です。

家族やペットと同居している場合、溶剤系の接着剤は、換気をしても、ある程度匂いがしますので気になりますが、水溶性の接着剤は、その点、安心して使えます。

 

水溶性接着剤は、塗って乾くと少しパリッとした張りが出るものが多いため、特に、薄い革で作る小物、ヘリ返しの箇所が沢山あるようなとても薄い革で芯材を貼ったり裏貼りをしたりする小物、には向いていると思います。

 

 

<合成ゴム系接着剤>

  (例:「ダイアボンド」など)

 

溶剤系のため、硬くなった場合、接着剤用の専用の溶剤で薄めて濃度を調節します。

溶剤系接着剤は、濃度が重要なので、割と頻繁に溶剤で調節しなければならず、その点は少し面倒です。

 

接着剤の種類により少し違いはありますが、シンナーのような匂いがあります。使用時は換気が必要なので、エアコンを使う季節には、ちょっと使いづらいですね。

 

天然ゴム系接着剤と似ていますが、合成ゴム系接着剤のほうが、乾燥が早めのようです。

また、乾かしてから貼るのではなく、生乾きで貼る、という接着剤が多いようです。

生乾きで貼る、乾燥が早い=早く作業をしなければならない、

ということになるため、慣れないと少し使いづらいかもしれません。

また、この系統の接着剤は、もともと粘度が少し高めでネバネバした質感を持つものが多いようなので、慣れていないと厚塗りになりやすいです。

 

 

<天然ゴム系接着剤>

  (例:「クラフト社 ゴムのり」など)

 

この系統の接着剤も溶剤系のため、硬くなった場合、接着剤用の専用の溶剤で薄めて濃度を調節します。

濃度調節が少し面倒なのは合成ゴム系接着剤と同じです。

 

こちらもシンナーのような匂いがあります。使用時は換気が必要です。

 

合成ゴム系接着剤と違う点は、乾燥が少し遅めのものが多いようです。

また、乾かしてから貼る、という接着剤が圧倒的に多いようです。

乾かしてから貼るため、広い面積の接着にも向いていて、ゆっくり作業ができる点が、良い点だと思います。

 

 

 

【接着剤の塗り方のコツ】

 

コツ、というほどのことでも無いのですが、知らないよりは知っていると便利なこともあるので、書いておきます。

 

<全ての接着剤に共通して言えること>

 

●接着剤は薄く均一に塗る。

薄く均一に塗るには、接着剤の種類に関わらず、その濃度が関係してくるので、いつも買ったときと同じような濃度(伸びの良さ)に保つのが良いと思います。

 

●吟面や接着剤の付きが悪いような箇所は、予めヤスリで荒らしておいてから塗る。

 

●接着したら、必ずローラーやハンマーなどで圧着する。

 

●接着剤を塗る前に、吟面にはレザーコートなどの防汚剤・保護剤を塗っておく。

 

 

<水溶性接着剤を広い面積に塗るとき>

 

水溶性接着剤は、例えばバッグの胴など、広い面積に塗るにはあまり適していません。

全体を塗り終わる頃には、はじめに塗った箇所は既に乾いてしまっていて、再度塗らなければならない、という状態になりがちです。

 

この場合、予め、塗る対象物(革の床面など)にスプレーで水を吹きかけておくと、接着剤の濃度を極端に薄めることなく、乾く時間を少し遅らせることができます。

 

スプレーではなくスポンジを使うのはあまりお勧めしません。付く水分が多すぎると、接着剤が薄まって接着力が落ちて接着しなくなるのと、水を付けた所が後でシミになりやすいためです。

 

 

<ショルダーストラップなど、長い距離を貼り合せるとき>

 

乾いてから貼ることが可能な、天然ゴム系接着剤を選びます。

長い距離を貼るときは、貼り合せる対象物の角度が少しズレてしまうと、最後のほうはかなりズレてしまいます。

そのため、貼り合せる対象物の双方に、同じ間隔でいくつか印を付け、はじめにその印どうしをごく軽く貼り合せておいて、その後、バランスを見ながら、全体を少しずつ貼り合せていくのが良いです。

印の箇所をはじめから強く貼ってしまうと、剥がすときに力が加わって革が伸びますので、位置を把握する程度にごく軽く接着して、すぐに剥がせるようにしておくと良いです。

 

 

 

【縫うことと、接着剤】

 

レザークラフトの場合は、殆どの場合、接着後に縫う、という工程が発生します。

接着しただけでも作品自体は作れますが、年数が経つと接着剤が剥がれてきて、結局、長く使えない物になってしまうため、接着した箇所は縫っておくことをお勧めします。

 

水溶性の接着剤は、きちんと乾燥させてあれば、縫う場合の針抜けが良く、縫っている時に針に接着剤がくっついてくることは殆どありません。

それに対して、ゴム系接着剤は、濃度が高いネバネバの状態で使うと、乾燥後であっても、接着剤(文字どおりゴム状のゴミ)が針にくっついてきて、縫うのが大変になったりします。

そのため、先ほども書いたように、接着剤の濃度の調節は意外と重要なんですね。

 



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