レザークラフト研究

横浜市で小さなレザークラフト教室をしています。小物から鞄まで

レザークラフト 裁断工具 革包丁とカッター どっちを使う?

レザークラフトでは、まず材料となる革を裁断することが、作品をつくる第一歩です。

が、これがなかなか難しいです。

革は部位によって色々な方向に繊維が走っているので、「真っすぐ切ったつもりがなぜか曲がっている」というは、『レザークラフトあるある』かなと思います。

 

レザークラフトで裁断に使用する工具には、カッターのほかに、革包丁という工具もあります。

カッター Cutter Knife

革包丁 Leather Cutting Knife


カッターを使い慣れている場合は、無理して革包丁を使わなくても、カッターで充分に裁断できます。

ただ、革包丁とカッターには少し違いがあるので、なぜ革包丁があるのかな?という視点で記事を書いてみようと思います。

 

 

【メンテナンスとコストの視点から】

 

ご承知のとおり、カッターの場合は、切れ味が鈍くなったら刃を折るだけなので、いつでも良く切れる状態に修正することができます。

 

カッターの場合は、本体は500円位からだと思いますが、刃が使い捨てのため、これにお金がかかるのは仕方がないですね。

 

革包丁の場合は、切れ味が鈍くなったら研ぐ作業、これを行う必要があります。研ぐことが面倒だったり、研ぎ方がわからない場合は、メインの刃物として、カッターを使うことをお勧めします。

ただし、革包丁でないと難しい作業があります。それが、革漉きの作業です。

 

革包丁の場合は、革包丁それ自体が、カッターより値段が高いです。革包丁の値段はピンからキリまでですが、お手頃価格だと3,000円位からあります。

お手頃価格の革包丁でも、研げばかなり長い年数使えますので、初めてであれば、その位の価格からスタートで良いと思います。

研ぎが必須なので、目の粗さの異なる砥石が2~3種類と、面直し用の砥石(すり減った砥石の面を水平に直すためのもの)、など、このような付随する用具への初期投資も必要になります。

 

 

【革漉きの視点から】

 

やってみたことがある場合はすぐに理解できると思いますが、革包丁だと革漉き作業ができるのですが、カッターだと、均一に漉くのは、かなり不可能に近いです。

自分の教室には革漉機があるので、基本的には革漉機で行いますが、どうしても手で革漉きを行わなければならない場面も発生します。

 

革包丁で革を裁断する場合は、革包丁を刃を下にして垂直に立て、その柄を握る持ち方をします。

それに対し、革包丁で革漉きをする場合は、革包丁を水平に置き、柄を自分の身体に近い側に、刃を自分から離れた側にしたら、その柄を上から掴むような持ち方をします。

革漉きをするときの刃の動きの方向は、自分に近い側から、自分から離れた方向へ、刃を動かしていきます。

 

これをカッターで行おうとすると、ちょっと無理があります。

カッターでの革漉きを極めた人なら別ですが(笑)、通常はかなり難しいと言えます。

このように、手作業で革漉きをする場合に必要になるため、革包丁を1本は持っていたほうが良いと思います。

 

 

【曲線の裁断の視点から】

 

カッターで曲線を裁断する場合は、より刃を立てて切っていけば、それほど難しくないと思います。

先がより尖っていて細目の幅のタイプの刃(デザインナイフ、などど呼ばれる)を使えば、さらに切りやすくなります。

ただし、大抵このタイプのカッターは、刃が薄く、先が細いため、厚みのある革の裁断の場合は、逆に、思うようにできないことがあります。

 

革包丁で曲線を裁断する場合は、そのままの持ち方で、革を直線で裁断する時よりも、もう少し刃を立てて切っていきます。

これは革と刃の接している面積を小さくして、革の抵抗を少なくし、刃を動かしやすくするためです。

革包丁にも刃幅、形状が異なる種類があり、曲線を切るのに適した革包丁も売っているので、それを使ってみるのも良いと思います。

 

個人的な見解ですが、慣れれば、革包丁のほうが、曲線は切りやすいかもしれません。

 

 

【まとめ】

 

革包丁もカッターも、それぞれ特徴があり、メリット、デメリットも違います。

結局、両方を持って、使い分ける、ということになるのかな?と思います。

革包丁の研ぎを面倒に思う場合は、メインの刃物としてカッターを使い(刃をすぐ新しくできるため)、革漉きなどは革包丁で行う、と使い分ければ、それで良いと思います。

 

最後に、革包丁は初めて買うならあまり刃巾が広くないものから使ってみると良いのではないかと思います。

手の大きさや体格には個人差があるので、一概には言えませんが、刃巾があまり広いと、曲線の裁断や革漉きの際に、少し扱いづらいように思います。

 

また、カッターについては、刃巾が20mmの刃を装着するタイプをお勧めします。

小学校の図工で使うような刃巾が10mm位のカッターは、刃の厚みが薄いため、革の抵抗に負けて、刃が湾曲しがちです。刃が折れて飛んで来たりすると、ケガの原因にもなります。

 

 

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