今回は、革に染料としてのアクリル絵具を塗ることについて
と、
メディウムというアクリル絵具用の薬剤について
書いてみようと思います。
レザーカービング(革彫刻)に、仕上の方法は様々ありますが、染色することも多いと思います。
仕上方法で多いのは、バックグラウンド(背景)を好きな水性染料「クラフト染料」「ローバスバチック」など)で染色し、
次に、アンティーク染料と呼ばれるペースト状の染料(「アンティックダイ」「アドカラー」など)で、アンティーク効果をプラスする仕上方法です。
※正しくはもっと行程が多いですが、染色に関してざっくり言うとこの2つです。
途中でアクリル絵具を塗る、というのは、あまり出てきません。
でも、別に塗っても良いんです。
アクリル絵具は、水性染料より思った通りの色に発色しますので、楽しいです。
アクリル絵具を塗ってみて感じた難しい点は、アクリル絵具は乾くのが早いため、アクリル絵具だけで「ぼかし」「グラデーション」は難しい(ほぼほぼ、できない)ことです。
単に、Aエリアは赤、Bエリアは青、みたいな塗り方であれば、ぼかす必要はないので、アクリル絵具だけで大丈夫です。
でも、シェリダンカービングのモチーフに多い、花や葉、さらに、フィギュアカービングでは、風景や人物・動物をはじめ、色々なものが描かれています。
例えば、花びら、葉、など、エリアごとに単色で塗り分けただけでは、とても単調になってしまいます。水彩画でもきっと同じですよね(私は描きませんが)。
普通の絵みたいに、色をぼかして塗れないかな~?って思いますよね。
いつも「リキテックス」のソフトタイプというのを使っています。
特にちゃんとした理由は無くて、リキテックスを使っているのは身近に買えたからで、
ソフトタイプを選んだのは塗りやすそうだったから。
リキテックスのウェブサイトを見ていたら、『色々な「メディウム(メジウム)」という添加剤を加えながら塗れば、こんなことも出来るよ!』というのが載っていたので、早速いくつか買ってみることに。
アクリル絵具はすぐ乾いてしまうので、あっという間に筆がパリパリに。
それを洗うのに使う「ブラシエイド」という液もついでに買いました。
【メディウムの種類(一部)】
<ペインティングメディウム>
ぼかしは、薄い色を何度か重ね塗りする形でやりたいと思いました。
アクリル絵具は、水で薄めることができるのですが、次の「ペインティングメディウム」というもので薄めることにしました。
『水の代わりにアクリル絵の具を薄めるメディウムです。固着力を弱めずに、絵具のすべりが滑らかになり、伸びが良くなります。などなど』とあります。
そう、アクリル絵具を水で薄め、殆ど水の感じで塗っているときなどは、色が革に載っているのかもわかりにくく、乾かないとちゃんと塗れたかわからないため、不安です。
なので、薄~く塗る際は、最近はこのメディウムで薄めています。
<リターディングメディウム>
『乾燥を 40%遅らせます』とあります。
多分、乾きが遅くなっていると思いますが、アクリル絵具を毎日使っているわけではないので、私には体感ではわかりませんでした(笑)。
アクリル絵具の乾燥の速さを補ってくれて、焦って塗らずに済むので、これも使っています。
<グラデーションメディウム>
まずは、ぼかしをしたかったので、このメディウム、使ってみました。
結果は、かなり、ぼかしやすくなりました。
塗る前に想像していた、水彩絵具のような、すごく淡くぼかせる、というところまではいきませんでした(私は普段、絵を描いたりしませんので、あくまで雑誌などの水彩画写真などと比べて、という意味です)。
でも、このメディウムを知る迄は、淡く塗り重ねてもクッキリ境界線みたいになってしまって、ぼかし、というにはほど遠い塗りあがりだったので、かなり満足!
<パールメディウム>
キラキラのパール感を出したいとき、いつもは『ツキネコ』の革に使えるパールのシリーズの染料(所有しているものは、スポンジにパール染料が染み込ませてあるタイプで、何色も持っています)を使っています。
レザーカービング後の染色に使うこともあります。
アンティーク仕上をする際に、アンティーク染料に混ぜても面白いです。
ただ、このタイプはスポンジから染料を筆ですくい取って使うのが少し面倒なのと、そもそもパールだけの補助剤なのではなく、シルバーやゴールドをはじめ、「染料にパールが混ざっているもの」なので、アンティーク染料などへの混色の組み合せによっては、思い通りの色が出せないことがあります。
こうしたわけで、単純に、アクリル絵具にパール感を出せる補助剤があると便利だな~と思い、買ってみました。
【付録:その他のメディウム】
メディウムで検索すると、もっと沢山の種類のメディウムが出てきます。
絵具を盛ったり、塗りあがりの質感を変えたり。
またメディウムの一種のようですが、「ジェッソ」と言われる下地作り用の補助剤もあることがわかりました。
ただ、この辺の補助剤になると、レザーカービングの仕上の染色にはあまり使わないと思われます。
恐らく多くは油絵系の画を描く方が使われるものかと思います。
レザークラフトでは、比較的、フィギュアカービングに染色する機会が多いですが、
下記は、今のところ、使ったことが無いものです。
「ジェッソ」
絵具の発色と定着を助ける地塗り剤・下地剤
・・・白をはじめ、様々なカラーがあり、混色も可能。
乳液状で浸透が良く、1~2時間で乾燥。
木、粘土、革、漆喰、ブロック、など、あらゆる物に使える。
「モデリングペースト」
・・・地塗り、盛り上げ用のメディウム。数種類ある。
下地の質感を変えるための下地用のメディウム
・・・例:漆喰状の下地を作る「セラミックスタッコ」など。
絵具に混ぜて使うと、立体感・質感を変えるメディウム
・・・例:強い粘りを持った蜂蜜状の「ストリングジェルメディウム」で、
ツヤのある液体チョコレートを表現する、など。
【最後に】
というわけで、アクリル絵具に関してはほぼほぼ初心者の私ですが、
メディウムというものを添加することで、色々と使いやすくなることがわかりました。
アクリル絵具のメーカー、ブランドには、他にも『ターナー』『ホルベイン』など、沢山あるようです。
違いはよくわからないのですが、海外製品だと、製品裏に詳しい説明が書いていなかったりで、ウェブサイトなどで調べても、使い方や成分がやや不明瞭なものも多いです。
もし上記のような補助剤を混ぜるなら、絵具と補助剤を同一メーカーに統一したほうが、調べるときにも楽ですし、成分的にも無難かもしれないですね。
メディウムを使ったグラデーションを用いて、
ある有名なキャラクターの絵を描いてみました。
全体像は掲載できないので、部分だけになります。
また、以前、こんな感じの絵を革に描いてみました。
leatherworksthalia.hatenablog.com