革の種類は、ブランドの違い、商品の違い、革をとった動物の年齢、という分け方を除くと、鞣(なめ)す方法の違い(主に、次の3種類)で分けられることが多いです。
【鞣(なめ)しの方法の違い】
・クロム鞣し
三価クロムで鞣した革。
市販の革は着色仕上げされている。
柔軟、軽い、耐熱性が高い。
袋物、衣料、靴によく使われる。
・タンニン鞣し
主に植物タンニンで鞣された革。
堅牢で、吸水性と可塑性がある。
※「可塑性」は、革を湿らせて成型すると、乾いてもその形のままでいることです。
手縫い、スタンピング(刻印を入れる)、カービング(革彫刻)、染色に適する。
・コンビ鞣し
2種類以上の鞣し剤で鞣された革。
【染色の違い】
また、染色の違いでは、主に、次の仕上げ方法があります。
・染料仕上げ
革のもともとの質感を生かした仕上りのものが多いです。
そのため、もともとの傷などは、隠れずにそのまま表面に出ます。
・顔料仕上げ
革の表面にベタっと均一に染色する仕上げです。
革のもともとの風合いはあまり感じられなくなります。
その代わり、革の表面の色が均一で、傷などがかなり目立たなくなっています。
傷の多い革の仕上げに多く行われるようです。
【価格の違い】
値段的には、もちろん、ブランドなどによる違いはありますが、クロム鞣しの革は、この3種類の中で、恐らく最も安く買うことができます。
タンニン鞣しの革は、輸入革かどうかにもよりますが、クロム鞣しの革より1.5倍以上の値段がすることが多いと思います。
【購入方法】
買う方法としては、実店舗を探さなくても、インターネットでも買うことができます。最近は、もちろん全種類ではありませんが、「切り革」と呼ばれ、予め一定のサイズにカットした革も(少し割高ですが)販売されています。
ただ、商品名や色を決め打ちで購入する場合は、探しても「切り革」では売られていなくて、「半裁」でしか買えない場合も多いです。
「半裁」というのは、牛など、革をとる動物の、背中から左右どちらか半分のサイズを指します。牛の場合、「半裁」の大きさは、縦1mx横2.5mくらいが一般的です。
かなり大きいので、価格もそれなりにします。見ないで買うには、すごく勇気が要りますね。
【鞣しの方法の違いと、仕立ての方法の違い】
最近は、色々な鞣しかたが開発されているようなので、これは、あくまでも一般論ですが、クロム鞣しの革は、コバ磨きはできない、と思っていたほうが良いです。
クロム鞣しの革も、色々な雰囲気の革があって、ぐにゃぐにゃの自立できないような革の場合は、殆どがミシンで仕立てる、つまり、内縫いするときに使う革、と思っていて良いと思います。
一見、タンニン鞣しのような雰囲気を持つクロム鞣しの革もありますが、コバ磨きはほぼできない、または、磨くことができても綺麗にならない、と思っていたほうが良いです。
この理由は、たぶん、鞣し剤の違いにあると思います。
コンビ鞣しの革は、(これは言い切れないかも知れませんが)、今まで使ってみた感触からは、コバ磨きは綺麗にならない、と思いました。やはり鞣し剤の影響だと思います。
でも、コンビ鞣しの革は、多くはタンニン鞣しの革と雰囲気が似ていて、コバが上手く磨けなければコバ塗り液を使うことで補えば、その他の点は、タンニン鞣しの革と同じように使えると思います。
また、コバが上手く磨けなければ、内縫いの作品を作っても良いと思います。
ただ、内縫いの作品はひっくり返す必要があるため、硬めの革だと、ひっくり返す時にものすごく皺が入りますから、内縫いには向きませんが・・・。
タンニン鞣しの革は、基本的には、外縫い、内縫い、どちらもできます。
ただ、前述のとおり、硬めの革は内縫いには向きません。
タンニン鞣しの革のほうが、色々な仕立てで使えますが、革の風合いは、総じて硬めの感じが強いですが、シボ加工されているような革は、少し柔かめだったり、オイルを多く含んで鞣されたものは、少し、しなやかで柔かかったりします。
一口にタンニン鞣しといっても、色々な革があります。
どんな風合い・雰囲気で作りたいか?によって、
はじめのうちは、お店で実際に手に取って触って、革を選んでいくと良いと思います。
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