レザーカービングに必須の道具、スーベルナイフ(スーベルカッター)の刃の研ぎ方について、書いてみます。
スーベルナイフの刃を購入すると、取扱説明書として、刃の交換方法などの説明は載っているのですが、刃が切れなくなった時の研ぎ方は、載っていない場合が多いです。
レザーカービング関連の本の一部では、刃の研ぎ方が載っていることもあるようですが、あまり詳しくは載っていないようです。
特に、初めて使う場合は、色々と、疑問がわきますよね。
「ルージュって、何?」
「オイルストーン(オイルストン)って、何?」
「シャープナーオイルって、何?」
「角度調整器を買ったけれど、使い方が正しいのかわからない」
「砥石がすり減って真っすぐ研げなくなったら、どうすれば良い?」
「この研ぎかたで正しいのかな?」
「刃の状態がどうなったら、研ぐ作業は完了なの?」
「セラミックの刃ってどうやって研ぐの?」
【用語の説明から】
まずは、用語の説明から・・・。
<スーベルナイフ(スーベルカッター)>
まず、レザーカービングで使う「スーベルナイフ(スーベルカッターとも呼ばれる)」という用語そのものが、普段の生活では、ほぼ耳にしない名前なので、不安感をあおりますね(笑)。
まず、スーベルナイフとは、こんな形のものです。
⇓⇓⇓

U字型になっている部分はヨークと呼ばれ、使う際に、人指し指を掛ける所で、クルクル回転するようになっています。
棒状の本体の部分は、一般的には、親指と中指を使って握ります。ここも、クルクル回転するようになっています。
先端には、取り外せる形で、専用の刃が付いています。
刃は、殆どの場合、細い六角レンチ(工具)で付け外しをします(一般的に、替刃を買うと付いてきます)。
刃と言っても、スーベルナイフの刃は、カッターや革包丁の刃のような鋭利な薄い刃ではなく、少し太い感じの刃です。指を当てても、すぐに皮膚が切れてしまうような感じの刃ではありません。
レザーカービングをする際の、スーベルナイフの役割は、主に2つあります。
ひとつは、革に鉄筆で描いておいた下絵を、なぞるようにカットすることです。

もう1つは、全体を刻印で打刻したあとに、花や茎などのモチーフに、飾りの切り込み(デコレーションカット、フィニッシュカットと呼ばれます)を入れる時にも使います。1枚の花びらに5本位チョンチョンと入っている飾りの切り込みのことですね。
<オイルストーン(オイルストン)>
「オイルストーン」は、「油砥石」とも呼ばれるようです。
食品を切るナイフを研ぐ砥石は水を含ませて研ぎますが、オイルストーンは油を含ませて研ぎます。
レザークラフトにおいては、スーベルナイフを研ぐときに使われます。
一般的に、鋼などの研ぎに使われています。
オイルストーンにも番手(粒度)が複数あります。
クラフト社で販売されているオイルストーンは下記の写真のもので、粒度が明記されていませんが、ナニワ研磨工業のウェブサイトで調べたところ、#320なのかな?!


新品のオイルストーンは、オレンジ色系の茶色ですが、油を付けて刃を研ぐと、段々と、深緑色のような色に変わります。
<シャープナーオイル(機械油、ミシン油)>
オイルストーンで刃物を研ぐ際は、油を含ませて研ぐと書きましたが、「シャープナーオイル」を数滴、オイルストーンの上に垂らして研ぎます。
シャープナーオイルと呼ぶより、「機械油」や「ミシン油」と言えば、わかりやすいでしょうか?
研ぐ時には必要なため、オイルストーンと一緒に、シャープナーオイルを購入しておくと良いです。
日本では、『サンランドオイル』が有名です。

<角度調整器>
刃を研ぐ時に、「角度調整器」なるものを刃に装着して研ぎます。
これです。⇓⇓⇓

写真の中央に、金属の棒が写っていますが、下側の先に穴が開いており、そこに、スーベルナイフの刃を差し込んで装着するようになっています。
そのため、刃を研ぐ時は、はじめにスーベルナイフの本体から、刃を外しておく必要があります。
刃を先端の穴にはめたら、オイルストーンの上に、刃をはめたまま角度調整器を載せて研ぎます。
角度調整器の刃を差し込むところは、ネジなどで固定するわけではなく、差し込んだだけの状態で研ぐため、オイルストーンの上で、刃を水平に保つ必要があります。
ちなみに、角度調整器が無くても、刃を手に持って、あるいは、刃をスーベルナイフに装着したまま研いでもOKなのですが、
注意して研がないと、刃の角度を斜めの状態に研いでしまったりすることがあるので、なるべく、角度調整器で刃を固定したほうが、安定して良いです。
<ルージュ(ルージュスティック)>
「ルージュ」は、「青棒」などとも呼ばれ、刃を研ぐ時の、仕上げの研ぎに使います。
砥石の粉を練って棒状に固めたものです。
研ぎの仕上げ以外に、レザーカービングをしている最中に、スーベルナイフの切れ味が悪くなってきた際、ルージュで刃を研いで、切れ味を復活させるためにも使います。
ルージュでの研ぎは、あくまでも一時的に刃の切れ味を少し復活させているだけなので、「スーベルナイフが切れないな~」と思ったときは、オイルストーンで研ぎ直したほうが良いです。
ちなみに、ルージュスティックを塗った木の板が、「台付きルージュスティック」という名で販売されているものです。

一般的に、ルージュには、青い棒以外に、白い棒や、赤い棒などの、番手(粒度)が違うものも売られていますが、レザークラフトでは、青棒が使われます。
これで一応、研ぐための道具は揃ったと思います。
<砥石のメンテナンス>
余談ですが、
オイルストーンを含め、砥石は、刃を研ぐと、刃を当てた所だけがすり減ってきます。
砥石の端では研ぎにくいので、中央あたりに刃を置いて研ぐことが多く、そこだけが凹んでいきますよね。その凹んだ状態で刃物を研ぐと、刃先が平らにならない現象が起きます。
そこで、すり減った砥石を平面に直したい場合、「面直し砥石」という物が売られていて、面直し砥石で砥石の表面を数回こすり、平面に直します。
ただ、一般の面直し砥石は、水を含ませて研ぐ砥石用です。
オイルストーンの面直しをする場合は、「電着ダイアモンド砥石」という物を使うと良いようです。砥石というより、金属板です。
オイルストーンがすり減ってきて刃が真っすぐ研げなくなって困ってしまって、どうしたら良いか調べて、これに行き着きました。
小さいものなら高価ではないので、買っておいても良いと思います。

<研ぎかた>
さて、本題の、スーベルナイフの研ぎかたについてです。
この項では、手順のみ記しています。
研げているかどうかのチェック事項については、次項に記しました。
1.
スーベルナイフ本体から刃を外し、角度調整器に刃を装着します。
2.
オイルストーンを縦向きに置き、刃をはめた角度調整器を載せます。
刃先は自分の身体と反対側、角度調整器は自分の身体側になるようにします。
刃先の斜めに角度が付いた部分を、オイルストーンにピッタリと付けます。
このとき、オイルストーンに刃先がピッタリと付かない場合は、角度を調整する必要がありますね。
そこで、角度調整器の上に付いているネジをゆるめて、中央の棒を移動させ、刃先がオイルストーンにピッタリと付く位置を探します。
位置を決めたら、角度調整器のネジをドライバーでしっかりと締めます。

4.
角度調整器の先に付けた刃を、両手の人差し指などで左右から固定して持ちます。
縦方向に往復させて動かします。「引くときに力を入れて」研ぎます。
数十回、この動作を繰り返します。
刃の両面を研ぎます。
研いでいるあいだは、なるべく刃先を水平に保つようにします。
5.
台付きルージュスティック(ルージュを塗り付けておく)を用意します。
角度調整器から刃を外します。
刃の根元を指で持ちます(刃先を自分の身体と反対方向に向けます)。
台付ルージュスティックに刃先を当て、自分の身体側へ引く動作をします。
自分の身体側へ引く時だけ刃先をルージュに付けます(刃先を元の位置に戻す時は、ルージュから刃先を離します)。
数十回、研ぎます。
刃の両面を研ぎます。
<理想的な刃の研ぎ上がり状態>
上記の手順4のときに、どうなれば研げた状態なのか、そこが知りたいですよね。
下記、少し参考になればと思います。
1. 刃の側面を見たとき
両面が同じ角度に研げているのが理想です。
どちらかの面が極端な角度になってバランスが取れていない場合は、研ぎ直したほうが良いです。
大体同じであればOKなので、そこまで神経質になることは無いです。

2. 刃を正面から見たとき
刃先が一定の幅で研げているのが理想です。

角度調整器を使っていても、手の力の入れ具合でどちらかに傾いていたりして、刃先を斜めに研いでしまうことがあります。
ときどき、刃先を確認しながら研ぐと良いと思います。
また、オイルストーンの一部がすり減って凹んだ状態で研いでいる場合も、斜めに研いでしまうことがあります。
3. 総合して
オイルストーンで研げたかどうか、刃の見た目の目安は、
切れ味が悪くなった刃先は、刃先が丸くなり、光に当てるとピカピカ光っている感じになります(写真の左側の刃)。
研げている刃先は、刃先がエッジが立ったシャープな感じになり、光に当てると鈍く光っている感じになります(写真の右側の刃)。

Left: Poor sharpness Right: Good sharpness
また、ルージュ(青棒)で研ぎの仕上げができたかどうかは、
スーベルナイフに刃を装着して革をカットして確認して、
ギシギシとした感触でスムーズにカットしている感じが得られない場合は、もう少しルージュで研ぎます。
<セラミックの替刃について>
セラミックは、金属よりも硬い素材なのだそうです。
セラミック刃を研ぐ際には、一般的な水を含ませる砥石、オイルストーン、いずれも、使えません。
食品用の包丁にもセラミック刃のものがありますが、研ぎたい場合、専門の研ぎ業者に出すと思います。
スーベルナイフにもセラミック替刃がありますが、ほぼ『使い捨て』と思ったほうが良いのではないかと思います。
金属より硬い素材だそうなので、そこそこ長い期間、切れ味が持続するのではないかと思うのですが・・・。
ここまで、スーベルナイフの刃の研ぎかたについて、書いてみました。

関連記事